天台宗は、正式には天台法華円宗と称し、滋賀県比叡山延暦寺を総本山としています。祖師は、高祖が天台大師智顗禅師(中国)で、宗祖が伝教大師最澄上人です。
立教開宗は、まず中国において天台智顗大師が、お釈迦様御一代の教えの内最も優れた法華経を中心として天台宗をお開きになり、その後、平安時代に伝教大師が中国に渡られ、天台の教えを日本に伝えて延暦25年(806)1月26日に日本仏教の根源となった天台宗を開かれました。
天台宗の教えは、この法華経に基づく一乗の教えを根本として、密教、禅法、戒法、念仏などをその実践の法門としています。日本仏教の総合的な要素があり、有能な多くの僧侶が比叡山に学び全国に教えを拡げ、時に新たな宗門を開いて行きました。
天台宗寺院のご本尊は、不動明王等をお祀りしていますが、それらは皆法華経に説かれている「久遠實成の釈迦牟尼如来(永遠の命、無限の力を備えられた宇宙の本体としてのお釈迦様)」と同一体であるから、すべての縁に従ってこれらの仏や菩薩を敬信するものです。
本山は、阿弥陀如来及び観音菩薩及び勢至菩薩両脇侍立像を本尊としています。
この世の色々な異なったことがらは、すべて移り行く仮の姿ですが、それはそのままに仏の命かつ姿でもあります。私たちは、皆御仏の子として仏と同じ仏性を生まれながらに備えているので人々がこの理に目覚めて、仏の道に勤しみ励むように説き導くのが天台宗の教えです。
俗に、「朝に題目、夕に念仏」とも称される如く、法華経の諸法実相(すべてのものは、みな仏そのもののあらわれである)の立場に立って、すべての大乗経典を敬い読誦いたします。
【「天台のこよみ」より一部編集し転載】